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仏教式で葬儀をおこなう場合、戒名が必要となります。お寺から戒名を授かるためには戒名料のお布施をお寺に納めるのが一般的です。
戒名料の費用が高いと感じ、戒名が必要なのか疑問に感じている方、戒名がないと困るのだろうかと悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、ある親子と弊社(お墓じまいのだいあん)のスタッフの3人の会話を通して
- 戒名とは何か、つけ方と費用について
- 戒名は必要か、不要か
- 戒名がないと困ること
- 戒名料を抑える方法について
ご紹介しております。
- 戒名が何のために必要か知りたい方
- 戒名を授かるか悩んでいる方
- 戒名を授かる方法を知りたい方
- 戒名を授かる費用を抑えたい方
に参考にしていただける内容です。
目次
登場人物
A家の息子と母親、お墓じまいの大安のスタッフ
戒名とは何か?
母から「おじいちゃんおばあちゃんの戒名 を覚えてお参りの時にとなえたら喜ぶと思うよ」って、戒名を教えてもらったんですけど……この漢字が並んだ戒名っていったい何ですか?どんな意味があるのですか?
戒名とは、仏教文化において、出家して仏門に入った仏弟子 に与えられる名前です。
亡くなった後に付けられる名前と思っている方が多いかと思いますが、本来は生きている間に授かる名前なんですよ。
えっ! 僕の祖父母は仏弟子には入っていないと思うのですが。
現代では戒名は、亡くなってから授かる方が増えています。
亡くなった方の魂を供養して、成仏するように導くために付けられます。
仏の世界というのは、生前の名前(俗名 )では行くことができないと考えられているので、葬儀方法が仏教式の場合は、戒名を授けてもらうのです。
ひとまとまりで戒名ととらえられがちですが、狭義での戒名は2文字です。この2文字には、生前の名前の1文字、仏や経典、尊敬する方から1文字で授かることが多いようです(浄土真宗ではこの部分は戒名ではなく法名といいます)。
この2文字の戒名に、院号、道号、位号など(宗派により異なる)を付けて7文字から9文字(それ以上の場合も)、各宗派の決まりにしたがって構成されています。
誰が付けてくれるんですか?
先祖代々のお墓があるお寺、葬儀や法要をお願いするお寺のことを菩提寺 といいますが、一般的に戒名は菩提寺の住職から授かります。
えぇ、僕は自分で戒名をつけられないのでしょうか?
好きな漢字、自分らしい漢字を入れたいと思ったのですが。
先祖代々お世話になっている菩提寺がある場合は、葬儀や納骨の供養をお願いするので、相談もなく自分で勝手に戒名をつけるのはいかがなものか……。
まずは菩提寺に自分で戒名を付けたい旨を伝え、了承を得ておく必要がありますが、反対され葬儀を断られる・納骨を拒否されるといったトラブルが起きることもあるので難しいのではないでしょうか。
自分の意向を組み込んだ戒名を希望される場合は、菩提寺と相談して生前に戒名を授かる方法もあるので、そのほうが現実的だと思います。
あのぉ、ちょっと話に入ってもいいかしら?
あ、母さん!
おや、お母様、どうぞどうぞ。
生きている間に戒名を授かる「生前戒名 」とは?
実は私、すでに戒名を授かってるのよ。
「生前戒名」でいらっしゃいますね。
そう、自分が亡くなった後に、家族に負担をかけないようにと思って、できることは先にしておきたかったの。
でも勝手に決めたわけじゃないのよ。
先祖代々のお墓がある、法要や葬儀でお世話になってる菩提寺のご住職に相談をしたの。
入れてほしい字も伝えてみたの。
自分が納得できる戒名を授かれたのはよかったわ。
ええっ、全然知らなかったよ。
いずれあなたにも伝えなきゃとは思っていたから、今日はいい機会だったわ。
そうですね、生前戒名は必ず家族に伝えておくことが大切です。
遺された家族が知らない場合、行き違いで別の戒名を授かってしまう可能性がありますから。
戒名料のお布施について
お布施もちゃんと済ませたから、息子よ、安心しなさい。亡くなった後に戒名を付けてもらうためのお布施の金額と比べると、生前戒名の方が何割か安くなるの。(※お寺による)
えっ、戒名を授かるのにはお金がかかるの?
それは私がお答えしましょう。戒名料はお寺によって違いがあるので、それぞれの菩提寺に確認することをお勧めします。
あくまでも目安の金額にはなりますが、10万で授けてくださるお寺もありますが、相場は20万・30万からでしょうか。
「から」とお伝えしたのは、宗派によっては戒名に位がございまして……位の高い戒名を授かるためには、100万円以上のお布施をすることもあるようです。
もし亡くなられた方が、社会への貢献度が高い方であったり、総代をつとめるなどお寺に貢献した方であれば、お布施の金額に関係なく最高位の戒名を授かるケースもあります。
戒名はいらないのか? 戒名がない場合の問題点、注意点(リスク)
僕は今までお寺のことに何もかかわってないし、高いお金がかかるなら戒名いらないよ。
戒名なんて、なくても平気な気がするけど。
いやいや、戒名がないなんて考えられないわ。
仏教式のお葬式をするなら戒名が必要でしょ。
お母様のおっしゃることもよくわかります。
息子さんは戒名がなくても大丈夫とおっしゃっていますが、本当に戒名が必要ないかの答えを出すためには、戒名がない場合に起こりうる問題点、注意点(リスク)を理解していただく必要がありますね。
リスク①仏教式のお葬式ができない
冒頭でもお話いたしましたが、戒名は仏教の教えとして、故人が仏様の弟子となり極楽浄土に行けるようにと付けられるもの。
戒名が無ければ仏教式のお葬式はできません。
僕は無宗教のお別れ式のようなものでいいと思うけど。だめなの?
※リスク①の解決方法
確かに、仏教徒ではない場合や、無宗教の場合は戒名をつけなくてもお葬式はできます。
リスク② 墓地・納骨堂に納骨できないかもしれない
葬儀方法が仏教式でなければいいんでしょ。僕の家のお墓なんだから、仏教式のお葬式にしなければ、お墓には入れるんじゃないの?
うちのお墓はお寺にあるから、ご住職のお話では戒名がないと納骨できないとのことだったわよ。
A家のように、お寺に先祖代々のお墓がある場合や、寺院の檀家になっている場合は、戒名がないと納骨できないケースがあるようです。
納骨堂も同じです。
費用を抑えたいけど、お墓に入れないのは困るよね。
※リスク②の解決方法 宗教を制限しない公営や民間の墓地や永代供養を利用する
そうですね。宗教を制限しない公営や民間の墓地や納骨堂であれば納骨できるでしょうから、遺族を困らせないように事前に調べておくとよいと思いますよ。
例えば、お墓じまいをしいて公営や民間の納骨堂で永代供養をお願いしたり、散骨をしてご遺骨をのこさないという方法もあります。
あなただけご先祖様のお墓に入らないつもり?
うーん、それもさびしい気がするし、お墓をあらためて準備するとなれば費用がかかってしまうのは困るな。ねぇ、格安で授けられる戒名はないの?
ちょっと、言い方……(怒)!!
戒名料を抑える方法はいくつかありますので、後ほどお話いたしますね。
はい、お願いします。それから……つまり、遺骨が残らなければお墓に入れるか入れないかを心配しなくてよくなるよね。遺骨を残さない、お墓のいらない供養方法も知りたいな。
お墓のいらない供養方法については、弊社の過去のブログで詳しく書いているのでごらんください。
リスク③ 親族からの批判・トラブルを招く
すでに息子様とお母様も、もめていらっしゃいますが。
世間では仏教式のお葬式をするのであれば、戒名を授かるのが一般的だと考えられています。
そうなの? ねぇ母さん、僕が「戒名はいらない」という遺言をのこそうとしたら、親族のみんなはどんな反応をすると思う?
本人だけの問題ではないと思うわ。親族一同が批判されそうで、周りの目が気になるもの。
うちの親族は代々菩提寺と良い関係でおつきあいをしてきたし、先祖代々の供養もお願いしてきたから。
みんなあなたの「戒名はいらない」という考えを理解できなくて反対すると思うわ。
※リスク③の解決方法 家族・親族・友人との話し合いをもつ
僕が戒名はいらないと決めた時には、「負担を減らすために決めたんだ」って、事前に理由を説明して理解してもらうように話しておくね。
なかなか難しいとは思うけど、あなたが考えなおす機会にもなるかもしれないし、トラブルを招かないように話し合うことは大切ね。
決して1人では決めず、遺族にも迷惑をかけないように、家族・親族・友人、いろいろな方の意見を聞いて、戒名が必要かどうかを判断するとよいと思いますよ。
戒名料金を抑える方法3つ!
ここで戒名料を抑える方法を3つお伝えしておきましょう。
料金の高さが理由で戒名を授からないと決めてしまう前に、ご自分に合った方法があれば試してみてはいかがでしょうか。
方法① 戒名授与・戒名作成サービスの利用
葬儀社やウェブ上には、価格を抑えて数万円で戒名を授かるサービスもあるようです。
しかし、お寺によっては、菩提寺以外の僧侶から授けられた戒名の場合、菩提寺の墓地や納骨堂への納骨を断る場合もあるとか。
菩提寺があるならば、このサービスの利用はおすすめできません。必ず事前に菩提寺のご住職に相談されてから動くようにしてください。
方法② 生前戒名を授かる
戒名の料金を抑える方法としては、先ほどお話にでてきた生前戒名を授かるのも、そのひとつです。
ご住職に希望する漢字を伝えることもできるでしょう。
一般的に生前戒名は、亡くなった後に授かるよりも戒名料がお安い場合が多いようです。
ただし、菩提寺がある方は後でトラブルにならないように、前もってご住職とよく相談されてくださいね。
他のお寺で授かった戒名では、納骨を断られる可能性がありますから。
母さんが安心できているのは、菩提寺の住職と相談して授かった生前戒名だからなんだね。
方法③ 戒名の位を下げる
先ほど、宗派によっては戒名に位があって、位により戒名料が変わってくるというお話をいたしました。
戒名の位は、亡くなられた方が生前社会的にどのような立場にいらっしゃったか、そのお寺に対していかに貢献をされたかを考慮して決められるものです。
戒名の位が高いと、戒名料も高くなりますよね。
費用を抑えたいから、高い位の戒名はいらないって正直に伝えれば、僕らの予算に合った戒名を授けてくれるの?
お寺にもよりますが、希望を聞いてくれる可能性もあります。相談されることをおすすめします。
でも位の低い戒名を授かることに納得しない親族もいるから……難しいわね。
私は義理の母が亡くなった時に、義理の姉から「お母さんには、最高の位の戒名をいただいてね」と、念押しされたから。
それは気も遣いますし、戒名料の金額面でも大変でしたね。
戒名が必要か不要かの問題とは別に、位の高い低いも問題になるんだ。僕には奥が深すぎるよ……。
だからこそ、お母様をはじめご家族、親族の方々などと話し合いながら、戒名について後悔のない判断をしましょう。
私ども、だいあんのスタッフにも遠慮なくご相談ください
わかりました!
これからもよろしくお願いいたします。
まとめ
この記事では、戒名とは何か?戒名は必要なのか?疑問に感じている方、戒名がないとどのような問題やリスクがあるのか、またその解決方法について知りたい方に向けて解説いたしました。
本記事の要点は以下のとおりです。
- 戒名とは、本来仏教文化で出家して仏門に入った仏弟子 に与えられる名前
- 現代では戒名は亡くなった方の魂を供養して、成仏するように導くために付けられる
- 仏の世界というのは、生前の名前(俗名=ぞくめい)では行くことができないと考えられているので、葬儀方法が仏教式の場合は、戒名を授けてもらう
- 生きている間に授かる戒名を「生前戒名 」という
- 戒名には宗派により位がある
- 戒名の位が高ければ戒名料のお布施も高くなる
- 戒名料のお布施の相場は20万、30万から
- 戒名がない場合の問題点、注意点(リスク)
・リスク① 仏教式のお葬式ができない ※解決方法
・リスク② 墓地・納骨堂に納骨できないかもしれない ※解決方法
・リスク③ 親族からの批判・トラブルを招く ※解決方法 - 戒名料金のお布施を抑える方法3つ!
・方法① 戒名授与・戒名作成サービスの利用
・方法② 生前戒名を授かる
・方法③ 戒名の位を下げる
戒名を授かるか授からないかは、それぞれのメリットとデメリットをしっかりと把握し、授からないことで起きるリスクやその解決方法も理解したうえで決めましょう。
大切なのは1人で決めず周りに相談すること。大切な家族、お付き合いのある親族との話し合いはもちろん、菩提寺がある方はまずご住職に相談することをおすすめします。
不安なことや、わからないことがあれば、1人で悩まず私どもにもお声かけください。お電話・メール・ラインでも、都合のよい方法でお気軽にご相談ください。お客様のお力になれればと存じます。
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