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お墓じまいだいあんのスタッフ、だいあん太郎です。
社内ではお墓じまいのお問い合わせやご相談に応じ、お客様とお話する機会がございます。お墓じまいに限らず、葬儀のお悩みや戒名は必要なのか? といった、さまざまなご先祖様のご供養にまつわるお悩みにお答えしています。
さて、今回ご紹介するのは、子育てが落ち着いてきた世代の女性のお客様、M様のご相談内容です。M様は最近、友人との会話で、ご自身の健康や親の介護、実家やお墓の跡継ぎの話をよくされるようになったとのこと。
M様の心配ごととは……
実家のお墓のことです。M様のご両親はご健在ですが、M様は旦那さんの家に嫁いだので、実家の跡継ぎがいないそうです。つまり、お墓を守る人がいない状況とのことです。将来実家のお墓がどうなるのか心配になったそうで相談にいらっしゃいました。
心当たりのある方、似たお悩みをお持ちの方は、よかったら一緒にこの会話のやりとりをのぞいてみませんか? 私、だいあん太郎が、M様のお悩みをうかがいながら、解決法・対処法をアドバイスいたします。
この記事では、将来的にお墓を守る人や、お墓の跡継ぎがいないというお悩みをお持ちの方へ向けて、今後、お墓をどうするか将来的な見通しが立てられるよう、解決方法や対処法を解説いたします。お墓じまいや永代供養のメリット・デメリット、費用についてもざっくり解説いたします。 |
目次
登場人物
(左)M様
弊社のお客様です。子育てが少し落ちついて、最近はご自身の運動不足や健康面が気になるアラフィフ世代です。実家のご両親はご健在ですが、両親や実家、実家のお墓の将来に不安を感じ、相談にやってきました。
(右)だいあん太郎
お墓じまい だいあんのスタッフです。親しみやすい雰囲気があり、彼のもとにはお客様やそのご家族から日々相談がよせられています。
お墓を守る人がいないとどうなるのか
お墓のお世話をする人がいなくなると、そのお墓は無縁墓 になります。 |
私の実家には先祖代々のお墓があって、今は両親がそのお墓の掃除や管理をしているけれど、私は一人娘で嫁いだから、両親に万が一のことがあったら、実家は跡継ぎがいない状態なの。
お墓の承継者がいなくなる可能性が高いのですね。
そうなの。私は実家から離れて暮らしているから、将来的に管理するのは難しい状況なの。守る人がいないお墓ってどうなるの?
お墓を放置しておくと、無縁墓になってしまいます。
むえんばか? むえんぼ……??
無縁墓とは?
無縁墓とは承継者がいなくなった状態のお墓のことをいいます。「お墓を継ぐ縁者がいない」という意味です。 |
昔は先祖代々受け継がれていたお墓も、少子高齢化や核家族化といった現代社会をとりまく環境の変化によって、お墓の管理や供養をする継承者が途絶えてしまうケースが増えているんですよ。
そうだよね。私の周りの友人にも悩んでいる人がいるもの。
私のように一人娘が嫁いで跡継ぎがいないケースと、跡継ぎの方はいるけれど、遠方に住んでいてお墓のお世話ができる状態ではないというケースもあるわ。
M様のご両親はどのようにお考えなのでしょうか?
自分の代でお墓をどうにかしておかないと、娘の私や、孫である私の子どもに負担をかけてしまうのではないか……って気にしているみたい。
無縁墓になるとどうなるのか?
無縁墓になると、一定期間の後、墓地管理者により墓石が撤去され、お墓からご遺骨を取り出して、ほかの無縁仏のご遺骨と一緒に埋葬される可能性があります |
無縁墓になるとは、つまり、お墓の使用者や、縁のある方と連絡が取れない状態ですね。そのお墓があるお寺・墓地や霊園の管理者に管理費が支払われない状況が続くと、ご遺骨はお墓から取り出され、ほかの無縁仏のご遺骨と一緒に埋葬される可能性があります。無縁墓とみなされたお墓は管理者が解体し更地にし、墓所の使用権を管理者に戻すことが認められています。
一定期間とは、具体的にはどれぐらい続いたらお墓が解体されるの? うっかり知らないうちにお墓が解体されることはないの? 知らせてくれるのかしら?
承継者がいない無縁墓とみなされたお墓は、お墓と縁のある方と連絡がとれないということなので、一般的には以下のような手順をとり撤去されます。
- 官報(国が発行する広報誌)に掲載
- お墓に立札を立て告知をする
- 1年が経過して所有者や縁者の申し出がなければ、行政手続きを行い、お墓は無縁墓として撤去される(墓所の使用権は管理者に戻る)
- 無縁墓から出されたご遺骨は墓地内の共同墓などに埋葬される
なるほど、お墓に出向かないと気づけないわね。そして合葬されると誰の骨か区別がつかなくなるから、ご遺骨は取り出せなくなるわね。
跡継ぎがいない時の対処法について
今からできることはありますか?
将来的にお墓をどうするかは1人で決めず、家族で話し合って決めましょう。家族の意見がまとまったら、親戚にもしっかり説明して納得してもらうのがおすすめです。 |
M様のようにご自身が実家の跡継ぎではなくても、 M様がお墓を継ぐことができるのはご存じでしょうか。
えっ!そうなんですか?
お墓は誰が承継しても問題はないそうです。 「長男が承継する」のが、昔からの習慣でしたが、現在は次男でも、性別に関係なく女性でも、継ぐことができます。ただ、都道府県や市町村が所有する公営墓地では、承継者は親族に限ると決められている場合もあるので、注意が必要です。このような場合は、友人や知人が承継することはできません。
私がお墓を守っていくことができるんですね。
法律のお話をさせてください。お墓の承継者については「民法 第897条」に定められています。
民法第897条
1.系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。 2.前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。 |
まず、民法897条は民法896条に書かれている、相続の一般的な効力の例外について書かれています。お墓や仏壇、神棚などの祭祀 にかかわる財産は祭祀財産 といって、相続財産 の継承とは別の基準で判断され決めることになっているのです。
民法897条をわかりやすくいうと、
- 家系図、祭具、お墓の所有権は、昔からその人たちがやってきた伝統にのっとって、祖先の祭祀を主宰する人が継承します。ただし、相続させる権利を持っている人が指定しており、祖先の祭祀を主宰する人が決められているなら、その人が継承します。
- 前の文にある、誰が受け継ぐかという伝統がない場合は、家庭裁判所が決めてあげますよ
ということは、両親が、私ではない他の親戚にお墓を継承してもらうこともできるってことよね。私の実家は本家で、父の弟が分家として近所に住んでるから、お墓は叔父さんが継ぐという可能性もあるのね。
そうですね。家族内にお墓の承継者がいないからといって先走り、お墓じまいなどを勝手にすすめると、親戚トラブルが起きる可能性があります。お役立ちブログにもお墓じまいにまつわる親戚間のトラブル事例を掲載しているので、ごらんください。
わかりました。まずは私が両親と話して、家族内で意見をまとめるのがよさそうね。具体的になったら親戚にもしっかり説明して納得してもらえるように進めてみます。
子供にお墓の跡継ぎ(継承者)としての負担をかけたくない場合は、どうすればよいですか?
お墓じまいを検討されることをおすすめします |
両親は、私にお墓の跡継ぎとしての負担を背負わせたくないそうなの。私が実家のお墓を継いだしたとして、遠く離れたところに住んでいるのにお墓の管理ができるのか? 菩提寺とのお付き合いができるのか? お布施や寄付など金銭的な負担も大変ではないか? 私が歳をとって、そのお墓を我が子に託せるか悩むことになるぐらいなら、両親の代でなんとかしておきたいと考えているようなのよ。
近年は終活がブームとなり、その一環として、M様のご両親のように、「自分が亡くなったあと、お墓をどうするか」を自分自身で考える方が増えたんです。以前は遺された家族が考えていたので、供養したいという思いから、「お墓をなくす」という考えには至りにくかったんですけど。
私の両親もそうだけど、みんな自分自身のお墓のこととなると、「のこされた家族にお墓の負担を負わせたくない」と考えがちなのよね。これもお墓じまいをする方が増えている理由なんでしょうね。やっぱりお墓じまいをするのがいいのかなぁ。でも私はご先祖様に悪いことをしているみたいで気が引けちゃう。
私どもはお墓じまいの業者として、お墓じまい=単にお墓を撤去するという意味ではないことをご理解いただきたいです。
それはどういう意味ですか?
お墓じまいとは
お墓じまいは、改葬 とも呼ばれます。現在建っているお墓の墓石を撤去して更地にした後、お墓の管理者に返します。各種行政手続きがあり、勝手に行うことはできません。お墓の閉眼供養をした後、ご遺骨を取り出し、新しいお墓に移すか、別の新しい供養方法で供養をします。 |
新たな供養法できちんと供養をすれば、単にお墓を撤去するだけではないので、ご先祖様に悪いと考えなくてもよいと思います。
お墓じまいっていろいろすることがあるのね。両親や私にできるのかな。書類の準備なんて難しそうだし、お墓じまいの業者さんはどこまで助けてくれるの?
各社対応は異なりますが、弊社では書類の準備や行政手続きの代行も行います。必要であれば、閉眼供養のお寺(お坊さん)の手配もいたします。
お墓から遠い場所に住んでいると、そうそうお墓には行けないけど……。それでもお墓じまいはできるの?
お客様が立ち会えない場合も、現地お見積りから墓地を更地に戻すまでを責任もって一貫して行い、ご遺骨の郵送での移動も行っておりますので、ご安心ください。
位牌を持っている場合はどうすればいいの?
お墓じまいをしたからといって、ご位牌もすぐに処分しなければならないわけではありません。ご位牌だけ手元において、お参りをするのはよいことだと思います。跡継ぎがいらっしゃらない場合など、ご位牌を残さない場合は、弊社で引き取りお焚き上げをしてご供養することもできます。施工の流れの詳細についてはこちらをご覧ください。お客様にしていただくこと、弊社で代行できることもそれぞれ記載しています。
心強いけど、それってお高いんでしょう?
実際どれくらいかかるか見積もってみましょう!
お墓じまいの費用はどれくらいかかりますか?
お墓じまいの費用(大分県の平均相場)は30万~200万、その内訳は
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弊社では現地に出向いてのお見積りを無料で行っております。ほかの石材店やお墓じまい業者も含めて数社から見積もりをとり(相見積もり)、内容と費用に納得して選ばれることをおすすめしますよ。
新しい供養先にかかる費用は、供養の方法によって変わるというと……選択肢はどのようなものがあるの?
お墓じまい後の新しい供養の選択肢にはどのようなものがありますか?
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お墓じまい後に考えられる新しい供養方法の選択肢は多様化しています。それぞれの供養の詳細は、過去の記事に詳しく書いているのでごらんください。
Amazon.co.jpで、ご遺骨を永代供養できる新サービスを始めた会社があるって聞いたわ。梱包キットを注文して郵送すると、お寺へ納骨されて、土に返すかたちで永代供養されるって……。2.の分類の一種かな。
そのようなサービスを利用される場合も、現在お墓をお持ちの場合は、代々のご先祖様が埋葬されているお墓を無縁墓にしないよう、お墓の管理をどうするかを決めて、菩提寺があれば菩提寺には事前に相談することをおすすめします。
将来的にお墓は必要ないとお考えでしたら、放置して無縁墓にならないよう、お墓じまいをご検討ください。
永代供養とは?
遺族に代わりお寺や霊園の管理者が、永代にわたって供養とお墓の管理を行っていくこと。永代といっても、個別の供養に期限がないものと、期限が設けられているものがあります。後者は一定期間を過ぎると、ご遺骨は合祀されます。ごうしとは、個別の骨壺からご遺骨を取り出して、他人の遺骨とまとめて埋葬することをいいます。がっそう、と呼ばれることもあります。 |
永代供養はお墓の継承を心配しなくてすむので、M様のご実家のように跡継ぎがいない方、子どもにお墓の継承者としての負担を掛けたくない方にはよい選択肢ですね。
そうよね、永代供養付きってメリットしか感じられない。ずっと永久に、永遠に、お寺や霊園が管理してくれるってことでしょ?
うーん、永代とはいうものの、個別の供養には期限の有無があるので管理者に確認を忘れずに。永代供養のメリットとデメリットをあげると
永代供養のメリット
- 無縁仏にならない
- 子どもにお墓の継承者としての負担をかけない
- お墓の管理・維持の費用をおさえられる
永代供養のデメリット
- 永代は「長い年月」という意味であり、永久ではないため、将来的に他のご遺骨とまとめ合祀される
- ご遺骨をまとめられた場合、個別には取り出すことはできない
お墓じまいや永代供養が選ばれる背景に終活がある?
先ほども申しましたが、近年は終活の一環で、自分が入るお墓をどうするか、自分自身で考え準備をする方が多いため、子や孫の負担を心配して、自分のためにお墓はいらないと考える方が増えているようです。
でも遺された側としては、お墓は手を合わせたり、語りかけたり、心が癒される場所でもあるのよね。お墓は遺された家族のための、心のよりどころでもあると思うから、家族や親族とはしっかり話し合って決めなきゃいけないわね。
そうですね。それから……、Amazon.co.jpの新サービスにしてもそうですが、供養方法が多様化して、お墓をもたない永代供養が求められているのは、お墓を継ぐ人が減っているからでしょうね。
どうしてお墓を継ぐ人っていうか、継げる人が減ってしまったのかしら。自分もそうなんだけど。
なぜ跡継ぎのいないお墓が増えているのか?
少子高齢化でお墓を継承する子供や孫がいない(数が減った)ことや、過疎化が進み、本来お墓を継承するはずの子供や孫が田舎をはなれた都市部に住んでいること。また菩提寺との関係も含めて、継承することに抵抗感を持つ人が増えているのも考えられる理由です。 |
私も一人っ子で、跡を継がずに家から離れたところに嫁いでいるものね。
お子さんに実家のお墓や菩提寺のお話をされたことはありますか?
まだ話したことないわ。お墓を継ぐということは、将来的に供養のお布施やお寺への寄付など、金銭的な責任や負担も現実問題として避けられないから。お世話になっているお寺に感謝の気持ちを示すことは大切だけど……簡単にできることじゃないしね。強制できるものでもないと思うの。
お墓じまいや、お墓の改葬にはマイナスイメージを持たれる方が多いのも事実です。でも、しっかりと話し合いをして親族の理解が得られれば、跡継ぎのいらないお墓や供養方法に移行することで、将来的にご先祖様の供養を続けることができます。
そうだよね。お墓の管理ができずにお墓が傷んだり、放置して無縁墓にしてしまうのだけは避けたいもの。お墓じまいやお墓の改葬は、お墓を守る人がいない場合には、亡くなったご先祖様に寄り添った供養のかたちだといえるかもしれないわね。
まとめ
この記事では、将来的に「守る人・跡継ぎがいないお墓のお悩み」をお持ちの方へ向けて、解決方法や対処法を解説いたしました。
本記事の要点は以下の通りです。
- お墓を守る人がいないと、無縁墓 になる
- 無縁墓になると、一定期間の後、墓地管理者によって墓石の撤去、遺骨の整理をされる可能性がある
- 子供にお墓の跡継ぎ(継承者)の負担を負わせたくない場合はお墓じまいをするのも選択肢のひとつ
- 専門業者に依頼するときは、各社の違いを比較するために、相見積もりをとり、作業内容と価格に納得して選ぶのがよい
- お墓じまい後の新しい供養の選択肢は多様化しており、永代供養が付いているものもある
- 現代社会における環境の変化で、跡継ぎのいないお墓が増えているが、お墓じまいをして新しい供養方法に移行することで、ご先祖様の供養を続けられる
お墓じまい専門店のだいあんでは、跡継ぎのないお墓を無縁墓 にしないよう、それぞれのご家族の状況に合わせて、ご供養方法の見通しをたてることが大切だと考えております。皆さまのご相談を承ります。ご不明点、お見積りのご依頼がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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