|この記事を監修した人
古賀 亮吉
墓じまいのプロフェッショナルとして、25年以上の豊富な経験を持つ。株式会社DAI-AN(ダイアン)の代表取締役を務め、これまでに1,000件を超える墓じまいの施工実績を誇る。

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多くの方々が、お墓じまいを考える際に気になるのが「いつ行うべきか」というタイミングの問題です。特に、先祖代々受け継いだ墓を管理しきれない状況にある方々にとって、この問題は重要なもの。そこで今回は墓じまいのタイミングについて考えてみましょう。弊社がご相談を承ったT様とのお話をご紹介いたします。

T様

3姉妹の長女、福岡県出身で実家は福岡、福岡県から大分に嫁ぎ大分在住、妹二人もそれぞれ嫁いでいるが福岡の実家近くに在住。
福岡の実家は、父が亡くなり高齢の母が一人暮らし。実家近くに先祖代々の墓を持っている。
帰省した際に、母が終活を始めたと聞かされる。「将来的にお墓をどうしよう」と悩んでいたことが気になり相談。

お墓じまいのタイミング、時期はいつがよいのか?

T様

実家の母が最近終活を始めたんです。終活の一環で、いずれはお墓じまいを考え始めたようなのですが、お墓じまいっていつするのがいいのでしょうか?

終活の際、エンディングノートの項目に「お墓をどうするか」が記載されているようですね。「終活」がよく知られるようになり、終活を始めるタイミングでお墓じまいを考える方も増えているようです。墓じまいを行う際には、計画と準備をおすすめします。墓じまいのタイミングといっても、お墓じまいを検討する(周りの方に提案する)タイミングと、実際にお墓じまいを行うタイミングが考えられます。それぞれの時期はいつがよいのかを考えてみましょう。

だいあん

お墓じまいを検討(提案)するタイミング

T様のご実家で、T様とお母様と妹様方が顔を合わせられるタイミングはありますか? 先祖代々のお墓じまいの話は、できればご家族が揃うタイミングで行うことをおすすめします。T様は長女でいらっしゃいますが、長女だからという責任感で一人で進めないほうがよいですね。誰しも自分の知らないところで決まった話には納得しにくいものですから。

だいあん

以前お墓じまいのご相談を受けた、弊社のお客様に起きたトラブルの実例をご紹介した【お役立ちブログ】がございますので、参考にされてください。

お盆やお正月など家族が集まるタイミングで

T様

私たち3姉妹と母が実家に揃うのは年2回です。お盆とお正月です。

ご家族が揃う日があるのはよいことです。まずはご家族の中で話を始めるのがよいと思います。その後親戚(親族)に伝えるという流れです。T様からお母様に事前にお話をされて、今度ご家族が集まる時にみんなに話すことを提案されてみてはいかがでしょうか。

だいあん

お祝いごとの席ではお墓じまいの話は避けた方がよい?

T様

そうですね、今度お盆休みに帰省した時に話すようにすすめてみます。私がもっと実家に近いところに住んでいたら、お彼岸にお墓参りしてそのタイミングでもいいんだけど。あ、その前に親戚の結婚式があるからその時でもいいのかな。

お彼岸やご法事でご家族や親族が集まるタイミングにお話をされる方は多いようですね。しかし、家族や親戚が集まるからといっても、お祝いの席などでお墓の話をされると雰囲気を壊すこともあるし、お祝いされる当事者も気分を害されるかもしれないので、避けた方がよいかもしれません。

だいあん
T様

確かに……結婚式の時はやめておこう。

人生の節目にお墓じまいを検討するのは?

もし、お母様がお元気で、お母様から皆様にお話をされるのであれば、お母様ご自身の人生の節目や長寿のお祝いごとなどのタイミングでご家族が集まりお祝いをされたあとにお墓じまいのお話をされるのは自然な流れですね。

だいあん
T様

なるほど。元気な時のほうが、お墓じまいの話ってしやすいかもしれないですね。母はもう過ぎちゃったけど、還暦とか退職とか、そんな節目に今後の話をするのもいいかも。

身内が亡くなった時にお墓じまいを検討するのは?

身内の方がお亡くなりになった時にお話されるケースもよくあります。今さらですが……T様の場合お父様が亡くなられたタイミングでお話されてもよかったかもしれません。

だいあん
T様

たしかに。でもその時点では妹たちも家にいて、誰かがT家を継ぐ可能性もあったから。

そうだったのですね、それぞれのご家族のタイミングというものがありますから。T様のご家族のように、「継ぐ方が誰もいない」とはっきりしてから、「将来的にお墓をどうするか」と考えはじめるのが自然です。

だいあん
T様

母はまだ元気だから慌てて考えなくてもいいのでしょうか? 母には長生きしてほしいし、長生きしそうだし。もし母に万一のことがあった時に考えればいいことなのでしょうか?

お墓じまいを検討しているお墓に、最後に入ると考えられる方が亡くなったタイミングですぐにお墓じまいを考えるのはなかなか難しいですね。バタバタとお忙しい中で手続きはたいへんですし、ご遺族はショックで考える余裕がないかもしれないし、切羽詰まって納得のいく選択ができない可能性も考えられます。

だいあん
T様

そうですね、決めました。お盆休みならちょうどみんなでお墓参りもするし、やっぱり家族で話すのはそのタイミングにします。家族で方向性がきまったら親族にお話すればいいですね。

家族での話し合いまでに準備できること

ところでお母様は、お墓じまいをされた後のご供養をどうしたいか検討されているのですか?

だいあん
T様

えーっと、納骨堂と言ってたような……でもどこの納骨堂なのか、話は具体的じゃなかったような。

それでは、お母様に事前に一度うかがっておくことをおすすめします。お母様の意志があれば、尊重するのはよいことだ思います。でも、T様や妹様方が将来的に困らない、後悔しないように思いをお伝えするのも大切なことです。納骨堂を選ぶにしても、お参りしやすい場所がいいでしょうし、個別の納骨堂なのか、合同なのかによって費用も変わってきますからね。年間管理費が必要な場合もあれば、一括で納めてしまう場合もあります。

だいあん
T様

ご遺骨を預けて終わりというわけではないんですね。確かに、母がもし亡くなった場合に、管理費などの支払があれば、その費用を誰が払っていくのかという問題もありますよね。それまでに資料集めをしておくと、具体的に話が進めやすそうですね。

お墓じまいのあとの供養の方法は納骨堂だけではありません。こちらの記事にお墓じまいをしたあとの供養方法についてまとめていますので、参考にされてください。

だいあん

T様

母にもすすめて一緒に読んでみます。

お墓じまいを行うのにおすすめの時期

T様

お盆にご家族で話ができて、親族からも了承が得られたとして……実際お墓じまいをするとなった時に、お墓じまいに向いている日はあるのでしょうか。よい時期や、逆に避けた方がよい時期はあるのでしょうか?

基本的には決まりなどなく、「六曜」も気にせずいつでもよいのです。しかし、お墓じまいには「閉眼供養」がともないます。お寺に供養をお願いする際、お彼岸やお盆の時期は繁忙期となり、希望の日程に予約が取りづらいと思われます。

だいあん
T様

お寺さんのことを考えると、年末年始も避けた方がよさそうですね。それにお彼岸やお盆、年末年始はお墓参りする方も増えそうだし、T家のお墓は霊園だから、工事をしていたら周りの方に迷惑をかけるかも。お墓にいる父もご先祖様も喜ばない気がするから。

季節も考慮することをおすすめします。弊社でも墓石の解体工事は晴れた日に行います。梅雨時期は工期が遅れるでしょうし、閉眼供養で皆さんがお参りするにも足元が悪くなります。積雪のある地方は冬にお墓じまいはしない方がいいですよ。重機の移動やお墓参りが難しい時期は避けたほうがよいですね。

だいあん
T様

ということは……もろもろのことを考えると、

  1. お正月明けから春のお彼岸前まで
  2. 春のお彼岸後から梅雨入り前まで
  3. 秋のお彼岸後から年末前

この3つの時期から、気候がよく家族の都合のよい日を選ぶとよさそうですね。

※春のお彼岸は「春分の日」(通例3月20日から3月21日ごろのいずれか1日)、秋のお彼岸は「秋分の日」(通例、9月22日から9月23日ごろのいずれか1日)を中日として前後3日間、計7日間が「お彼岸」の期間となります。

そのとおりです!

だいあん
  
T様

お墓じまいの日取りを決める際に、仏滅・大安・友引といった「六曜」は関係ないのでしょうか?

 

「六曜」は気にする必要はありません。仏滅の「仏」の文字の印象からか、六曜が仏教由来のものと思われがちなのですが、六曜のルーツは中国から伝わった時間占いのようなもので、仏教とは関係がないものとされています。

だいあん
  
T様

そうなんですね。でも、お葬式は友引きを避けて、お祝い事に大安を選ぶのも一般的になっているから少々気になりますが……、お墓じまいは弔事にあたるのでしょうか?

お墓じまいは、葬儀のような弔事でもなく、お祝い事でもないので、日を選ぶ必要はないのですよ。しかし、地域や宗派によっては、工事や法要をさけるべき日が暦で決められていることもあります。僧侶それぞれ考え方も異なります。気になる方は、閉眼供養をお願いするご住職に相談されるのがよいと思います。

だいあん

お墓じまいにかかる時間

T様

お墓じまいに向いている時期はわかりました。ところで、お墓じまいにはどれくらいの日数がかかるのですか?

弊社で承ったお墓じまいでは、お申込みから最短1か月でお墓じまいを完了したケースもありますよ。弊社にご連絡いただいた場合のお墓じまいの工程とそれぞれかかる時間をご説明しますね。

だいあん

お墓じまいについて(一般的なお墓じまいの流れ)のページもご覧ください

  1. まずは株式会社だいあん – 大安 – にお問い合わせください
    フリーダイヤル電話番号:0120-897-377
  2. 現地調査・お見積り【1日】
  3. ※お客様にしていただくこと【数週間~数か月】
    家族、親族、お寺との事前相談
    今後の供養方法(ご遺骨の行き先)を決定する
  4. 書類の手配・行政手続き【1~3週間】※弊社が代行も承ります
    改葬許可申請書を取得した役所へ全書類提出後「改葬許可証」が発行される
  5. 魂抜き(閉眼供養)【1日】とご遺骨の取り出し【数日】
    ご遺骨を取り出す場合、憎侶や神官立ち会いのもとで魂抜きを行います。用意するものは宗派によって様々ですので、お寺などにお布施の金額も含めあらかじめ相談をしておくことをおすすめします。
  6. 墓所の解体、撤去工事、更地にして返還【数日】
  7. 書類の提出【数日】
    改葬葬許可書……新しい墓地、永代供養先などへ提出して完了

※3のご家族・親族・お寺との事前相談ができていれば、お墓じまいそのものは、1か月あれば完了します。

※お客様が遠方にお住まいの場合、菩提寺がない場合などは弊社がお寺との相談、閉眼供養をお願いするお寺さがしを代行いたします。

※行政手続きもご相談いただければ、代行を承ります。

T様

なるほど。事前の準備ができていれば、書類や手続きと工期合わせて約1か月をみていればよさそうですね。

まとめ

今回の記事は、お墓じまいのタイミングと時期、工程とそれにかかる時間について、実際にあったT様のご相談の流れに沿ってお話いたしました。

◆お墓じまいを検討(提案)するとよいタイミング

  • 終活を始める時
  • お盆やお正月など家族が集まる時
  • お祝いごとの席ではお墓じまいの話は避けたほうが無難
  • 退職、還暦など人生の節目
  • 身内の方が亡くなった時

◆お墓じまいについて家族や親族で話し合うまでに、墓じまい後の供養方法(ご遺骨の行き先)をきめておくとよい

◆お墓じまいをする時期は、お寺の繁忙期・梅雨や積雪の時期を避けた方がよい

◆お墓じまいを行うのにおすすめの期間は以下の3つ
①お正月明けから春のお彼岸前まで
②春のお彼岸後から梅雨入り前まで
③秋のお彼岸後から年末前

◆お墓じまいにかかる時間は最短で約1か月(書類・行政手続きと工事)

お墓じまいは、計画と準備が必要な作業です。お墓じまいを検討するタイミングはいつでもよいのですが、よい時期を見極めるためには、ご家族の状況や意向、気候条件、そしてご家族や親族の感情的な部分にも配慮しながらすすめることが大切です。

お墓じまいに関するご質問やご相談がございましたら、お墓じまいのだいあんにお気軽にお問い合わせください。私どもがお手伝いさせていただきます。

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